プライベートエクイティとは?ベンチャーキャピタルだけじゃない投資形態まとめ



 

1.投資の種類について

 

ベンチャーにまつわる“投資”としてはベンチャーキャピタル(以下、VC)投資が一般的に話題に上ります。しかし、投資としてはVC以外にも様々な種類手法があります。みなさんはその他の投資手法についてどれほど知っておりますでしょうか?

図にあるようにVCという投資手法は、プライベートエクイティ(以下、PE)投資の一部に過ぎません。PEは広義で「非上場企業に対する投資」のことを指します。

私たち個人が一般的に売買できる手段は、伝統的投資と呼ばれる株式や債券での投資です。それに対し、機関投資家(年金や金融機関、事業会社等)がお金の出し手となる投資で、従来とは異なる新しい投資手法が、いわゆるオルタナティブ投資と呼ばれています。たまに新聞やテレビで聞かれる単語ですね!

筆者は新卒で金融系VCに入社し、その後、事業再生領域にもいたことがあります。この経験も踏まえベンチャー業界におけるPE、それもあまり知られていないVC以外のPEファンドの役割について記述したいと思います。

 

2.PE投資について

 

先ほど述べたオルタナティブ投資のイチ手法として、PE投資があります。このPE投資ですが、VC投資からディストレス投資まで「企業ステージ」ごとに区分がされていると考えるとわかりやすいです。

VC投資は、起業直後からIPOまで成長フェーズの起業に対し投資を行います。企業の将来性、成長性に着目し投資をし、成功した時の資金回収は数十倍から数百倍と圧倒的なパフォーマンスです。しかし、投資先の多くはIPOなどEXITに至らずハイリスク・ハイリターンと言えます。昨今は、金融系VCから派生し、独立系、事業系のVCが活発に活動をしていますね。

バイアウトファンドは、一般的には事業が立ち上がり、キャッシュフロー(以下、CF)が出ている相応の規模の企業に対し、マジョリティー(出資比率50%以上)を求めて投資を実行します。基本的な投資戦略は、CFの改善可能性に着目し投資をする、というものです。

日本においては96年の独占禁止法改正を契機に97年にアドバンテッジパートナーズが日本で初めてバイアウト専用のファンドを組成したと言われています。つまり国内におけるPEの歴史はまだ浅いということです。

次に、企業の成長に陰りが見え始めたタイミングに関与するのが再生ファンドです。彼らはリストラクチャリング(部門の縮小等)などを通じ、企業の再生を目指します。日本においてはダイエーやカネボウの再生で知られる産業再生機構が大きな役割を果たし、07年に同機構が清算した後、その出身者が同業界で活躍をしています。筆者が在籍していた会社も産業再生機構出身者が設立した会社でした。

さて、そんな再生ファンドでも再生ができず、破たんしてしまった企業の債権等を安く買い取るのがディストレスファンドです。昔、日本ではハゲタカと呼ばれたりもしていました。PEファンドについて語るとき、このハゲタカファンドのイメージを未だに根強く持っている人が多くいますね。でもディストレスファンドはPE全体のごく一部に過ぎません。

 

3.ベンチャー企業とPEの関係

 

このようにフェーズごとに様々な投資主体、手法があるわけですが、ベンチャー企業においてもVCの他にバイアウトファンドや再生ファンドに関連する企業があります。そして多くの場合、関連するのはEXITの時です。

ベンチャー企業のEXITには大きく2種類あります。ひとつは株式公開(IPO)です。そしてもうひとつがM&Aです。このM&Aですが、事業会社へのEXITがよくニュースになりますが、(VC以外の)PEファンドへの売却ということもあります。

実際にPEファンドが関与するケースがどのようなものがあるのか、これから具体的な案件に基づき「事業会社がファンドに関る時」を見ていきたいと思います。

 

4.《ケース》VOYAGE GROUP

 

㈱VOYAGE GROUPは99年に設立され、メディア関連事業(ECナビ等)、アドテクノロジー事業(Fluct等)、その他インターネット関連事業(サポーターズ等)の3軸にて事業展開をしている企業です。現在はマザーズに上場しており業績も好調の当社ですが、IPOに至るまでの変遷は単純ではありません。

当社は99年に㈱アクシブドットコムの名で創業され、それから2年後の01年に㈱サイバーエージェントの連結対象子会社になります。つまりここで一回、、事業会社(サイバーエージェント)へのEXITを経ています。

その後、価格比較サイト「ECナビ」サービスを開始し社名を㈱ECナビに変更したり、ポイント交換サービス「PeX」を運営する㈱PeXを設立するなど、様々に子会社を設立しています。

そして12年に親会社との事業重複の解消などの理由からMBO(マネジメント・バイアウト)を実行します。この場合のMBOを単純に記載すると「サイバーエージェントの株式を経営陣が買い取る」というスキームになります。ただし、経営陣はサイバーエージェントから株式を買い取る資金がありません。そこで登場するのが「バイアウトファンド」です。本件の場合は国内証券系PEであるポラリス・キャピタル・グループが関与しています。

14年にIPOをしたことで、ポラリスは自身が持つ株式を市場で売却することでファンドとしてのリターンを得ています。

つまり図の通り、VOYAGE GROUPは経営の過半数を持つメジャーの株主を何回も変えつつ、現在の姿になっているのです。まず経営者がサイバーエージェントに持分を売却(1回目のEXIT:事業会社への売却)し、

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、その後 、サイバーエージェントの持分をポラリスが買取ります(2回目のEXIT:MBO)そして、その後の順調に業績を伸ばしたことからIPO(3回目のEXIT:ポラリス持分の市場売却)となっています。

このように「ベンチャーでIPO」と一言で述べても、その背景には色んな歴史があるのです。経営陣や事業会社のニーズを把握し、過半数以上の株式を相応の資金をもって買い取るのは一般的なVCには厳しく、PEらしい動きといえます。

 

5.投資の多様な手法

国内においてPE投資が本格的に活動してまだ10数年程度しか経っていません。そのため世間的にPEに対する理解が深まっていませんが、事業活動におけるPEの役割、影響は確実に広がっています。

ベンチャー投資において昨今はVCによる大型調達が相次いでいますが、株式の過半数を1社で投資できるのはバイアウトや事業再生などのPEファンドになります。日本においても上場前から時価総額が巨額になるケースが増えている中、ベンチャー投資におけるバイアウトファンドなどVC以外のPE投資にも注目をしていきたいですね!